『樹状細胞』の活性化が、健康と美容の最終の決め手。


2011年のノーベル医学生理学賞の受賞者は3人いましたが、 その中の1人がアメリカ・ロックフェラ一大学教授のラルフ・スタインマン医学博士でした。彼の受賞テーマは「樹状細胞と獲得免疫におけるその役割」 です。 この受賞により、樹状細胞を用いた免疫治療に世界中が注目を集めるようになったと言っても決して過言ではないでしょう。

ガン、 心臓病、脳梗塞、 肺疾患 肝臓病、腎臓病、胃腸病、糖尿病、その他の合併症、各種関節疾患、各神経痛などさまざまな疾患が、 これまでにないスピードと確実性で治療されるようになったのです。

スタインマン医学博士は、カナダのマギル大学を卒業後ハーバード大学医学部に移り、 そこで医学博士号を取得しています。 その後ロックフェラー大学に所属し、以降、樹状細胞の研究に取り組んできました。 博士自身はノーベル賞発表の3日前に膵臓ガンで亡くなっていますが、樹状細胞の研究成果を身を持って提示したことに高い評価が与えられています。

樹状細胞とは、主に皮膚下に多く存在する免疫細胞の一種です。この樹状細胞は他の免疫細胞と異なり、ある特種の才能をもっています。それは、病原体が体内に入った時、その病原体の情報をリンパ球などに知らせ、その病原体に立ち向かう体内の抗体を活性化せさる能力です。つまり、体内に病原体が侵入すると、いち早くそれを敵と認識して食べることにより内容を分析。その詳しい情報をリンパ球などに知らせるとともに、味方の兵力を増強する役目を果たすのです。

これまでの免疫細胞は、体内の強い兵隊をつくることは得意でしたが、敵を認識するというきわめて大切な部分に弱点がありました。 しかし、この樹状細胞の敵に対する高い認識能力により、 免疫細胞治療に革命が起こったといえましょう。これまでは敵の正体がはっきり分からないまま戦っていたのが、樹状細胞により敵の正体がはっきりと認識できるため、敵を狙い打ちすることが可能になったのです。その分、より効果的に外敵に打ち勝つ可能性が高まったと言えるでしょう。

私たちの体は、免疫によって守られています。 免疫には自然免疫と獲得免疫の2種類あり、体内に細菌やウィルスなどが侵入するとまっ先に攻撃を仕掛けるのが顆粒球、マクロファージ、 NK (ナチュラルキラー)細胞、そして樹状細胞です。

そして、その先制攻撃から逃れて増殖してくる病原体に対し、さらに高度な攻撃を加えるのが、T細胞、 B細胞、 サイトカインなどの獲得免疫です。 ここで大切なのが、先制攻撃隊である樹状細胞は、1次攻撃の経験から敵の戦力や能力などの細かな情報を分析し、それを2次攻撃部隊である獲得免疫に知らせる他、指令を出す重要な役目も担っていることです。

先制攻撃隊の樹状細胞は、外敵の病原体を捕食することにより撃退し、食べた後、リンパ節に移動し、自分の細胞内でバラバラになった病原体の断片の中から、病原体の印を自分の細胞表面にのせて2次攻撃隊のT細胞に教えるのです。マクロファージやB細胞もこの抗原提示の能力を持ってはいますが、敵に素性を知られていないT細胞に情報を送り、それを活性化させることができるのは樹状細胞だけなのです。

分かりやすくいうと、樹状細胞は外敵である病原体が侵入してくると、まずその病原体を食べてしまいます。 そしてその外敵の内容を分析した情報からモンタージュ写真を作り、「これが犯人だよ」と獲得免疫に伝えます。 さらにT細胞などを教育し、より武装化させるという、教官と司令官の役割も担うのです。

その結果、T細胞やB細胞は病原体を明確に認識することができ、効率のいい狙い打ちが可能になるというわけです。したがって、この樹状細胞を活性化すればするほど免疫能力は向上し、外からの病原体に対する戦闘能力が高まるということにつながってきます。 健康で丈夫な体をつくり、老化を防ぎ若さを保つにも、樹状細胞の活性化は欠かせないのです。


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