肩部、胸部、上背部の筋肉は、 その身体上の部位が近いというだけでなく、主として胸部および上背部の筋肉の大部分が肩の制御に直接かかわっているか、またはそれに大きく影響しているという理由でグループを形成する。 この領域で実際には肩筋でない唯一の筋肉は、 肋骨筋と呼吸筋である。
肩部
肩部を理解する上で最も重要なことは、 肩部は残りの骨格構造と唯一の関節、胸鎖関節で結合している点ではないだろうか。このかなり弱い結合以外には、腕を含む肩構造全体は軟部組織で支えられている。 この配列により、腕には著しい運動の自由が与えられるが、肩部には軟部組織を損傷しやすいという弱点が与えられる。 肩甲帯は、胸骨、鎖骨、および2つの肩甲骨の柄からなる骨の環である。肩甲骨は背部で結合していないので、これは不完全な環である。 肩甲帯の各側面は、マスト(胸骨) から自由に回転する帆船上の帆 (鎖骨)に例えられる。その広い運動範囲は軟部組織によってのみ制限される。 したがって、肩部は大きなフレキシビリティと大きな脆弱性を合わせ持っている。
●大きなフレキシビリティ/腕と肩を背部、胸部、および頚部に結合する軟部組織(筋肉、腱、筋膜)は軟らかくて、引き伸ばしができ、さまざまな方向への動きができる。
●大きな脆弱性/あらゆる方向にあまりに遠くへ動くため、 肩関節は脱臼や分離を起こすことがあり、また軟部組織を傷つけやすい。
肩部の構成要素
肩部 (腕を除く)は、肩甲骨と鎖骨の2つの骨で構成されている。
●前面には、 腕と肩を肋骨の柄で胸鎖関節によって残りの骨格に結合する鎖骨がある。 背面には、肩甲骨がある。
●鎖骨には、鎖骨を下方の第一肋骨と結合する独自の筋肉、鎖骨下筋がある。 鎖骨はかなり単純な骨だが、肩甲骨は入り組んだ複雑な骨である。肩甲骨はさまざまな目的に利用できる複数の伸張範囲を持ち、有名なアーミーナイフに例えられる。肩甲骨
身体の大部分の骨は、 テントのポールのように堅いスペーサーとして働く。 だが若干の骨は、 軟部組織やその他の骨の錨として機能する。 肩甲骨は、こうした「錨」の中でも最も重要な骨のひとつである。肩甲骨は通常、両肩の背面に見ることができる、基本的に平らな三角形の骨と考えられている。 肩甲骨のこの部分は、主として複数の筋肉(そのうちの4つは腕の回転を助ける棘上筋、棘下筋、 小円筋、肩甲下筋であり、スポーツ障害を起こしやすい回旋筋腱板を構成している) の錨として働く。肩甲骨のこの大きな部分は、水平から少し上の角度で横切る骨隆起によって、2つの領域に分けられる。 この隆起部を肩甲棘という。同額の上と下の筋肉は、肩甲骨表面に付着し、肩甲棘そのものに付着する筋肉もある。 肩甲棘は、肩甲骨の平らで三角形の部分を超えて伸張し、突起を形成する。 この突起が肩峰である。 肩峰の機能は、肩甲骨を肩鎖関節で鎖骨に結合することである。 また肩峰の下にある関節、上腕骨の上部、および肩峰の真下を通る腱を覆うフードまたは屋根の働きをし、それらを保護する。 肩峰と肩鎖関節の真下に当たる三角形の骨の上外側部に、 上腕骨のソケットを形成する。このソケットを関節窩といい、上腕骨が関節窩に納まる球関節を肩関節という。 股関節と比べると、 肩関節は非常に浅く、開いた球関節である。 これは、肩峰および付着した腱と靱帯の補足的保護としてはよく機能する。 とはいえ肩の脱臼は、脆弱さを代償としフレキシビリティが得られるもう1つの関節である股関節よりも頻繁に起こる。 最後に、 肩甲骨の上外側の前からはもう1つの突起が伸びている。 この突起は烏口突起といい、小胸筋、 烏口腕筋、上腕二頭筋の短頭などを固定する。 肩甲骨は腕にソケットを提供するものであり、あらゆる方向に自由に動けなければならない。 肩甲骨は上下にも、ある程度前方にも動け、肋骨に近付けることもできる。 また、これが一番重要だが、時計回りにも、反時計回りにも
回転できる。 以下の6つの筋肉が肩甲骨を所定の位置に保持し、さまざまな方向に動かす。
1.小胸筋
2.大菱形筋
3.小菱形筋
4.肩甲挙筋
5.僧帽筋
6.前鋸筋
上腕骨は、以下の3つの強力な筋肉によって動かされる。
●肩甲棘、肩峰、鎖骨、および上腕骨への付着にり肩関節構造の上、 前、 後、 および外側面を覆う三角筋。これは多くの場合、 三角筋前部、三角筋中部、 三角筋後部の3つの筋肉を指す。
●胸郭前部を覆い、上腕骨に付着する大胸筋。
●腸骨稜から伸び背中の大部分を覆って上腕骨に付着する広背筋。
肋骨筋と呼吸筋
肋骨筋は内外肋間筋、 前鋸筋、 上下後鋸筋 (上後鋸筋・下後鋸筋)である。 呼吸プロセスの力学的および生理学的側面は、神経筋保全性の主要ファクターである。 他の筋肉の補助があるとはいえ、 呼吸で重要な筋肉は横隔膜である。
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