デトックスやアンチエイジングにも深く関係する 「アクアポリン」の発見


2003年、アメリカの血液学者ピーター・アグリ博士がノーベル化学賞を受賞しました。受賞理由は「アクアポリン」の発見です。この「アクアポリン」とは「水の穴」という意味です。人間の体はその約65%が水分ですが、 人体を構成する細胞内にどのようなメカニズムで水が出入りするのかは長年謎でした。

細胞膜はりん脂質、コレステロール、糖脂質などの脂質で2重に覆われており、水と油ですから、そのままでは水は油に弾かれ水分子は細胞内に入ることができません。 ところが細胞膜にはタンパク質でできたイオン専用の通り道、つまり補給路が埋め込まれていたのです。 これが 「アクアポリン」と呼ばれる補給路です。 この 「アクアポリン」を通じて、水は細胞の隅々にまで運ばれていたのです。ちょうど壁に埋め込まれた排水管をイメージすればいいと思います。

しかもこの排水管は複数のタンパク質から組み立てられており、 ゲートを持っています。 そしてそれらのタンパク質の形の変化により、 ゲートが開いたり閉じたりするのです。つまり必要な時だけゲートが開き、イオン化した水分子を通すのです。 ゲートが開くと、特定のイオンが細胞膜の内側であれ外側であれ、イオン濃度の高い方から低い方へ移動し、またそのイオンの持っている電荷にしたがい、プラスに荷電したものであれば反対側のマイナスに荷電した方へ、マイナスに荷電したものであれば反対のプラスに荷電した方へ移動します。 つまり必要な成分を取り入れ、不要になった成分を排出する自動装置付きの排水路と考えればいいでしょう。

この「アクアポリン」は、1秒間に数十億個の水分子を通過させ、細胞の水分環境を調整するための機能を担っています。 そしてこの機能は、デトックスやアンチエイジングにも密接な関係を持っているのです。 肌の潤いやしっとり感も、この「アクアポリン」が大きく関与していることがわかってきました。しかし、この「アクアポリン」は加齢によって劣化・減少してしまいます。 「アクアポリン」の劣化・減少により体内環境が悪化したり、肌のバリア機能が低下するなどの現象を招いてしまうのです。

この「アクアポリン」同様、細胞膜には特定のイオンのみを通す補給路が他にも数多く埋め込まれています。 これを総称して「イオンチャネル」 と言うのです。


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