水分子を通す 「イオンチャネル」は「アクアポリン」と呼ばれますが、 他の特定のイオンだけを通す「イオンチャネル」 が多数あることも解明されてきました。 そのイオンの種類によりナトリウムチャネル、カルシウムチャネル、カリウムチャネルなどに分類されます。細胞膜にはこれらの特異的なチャネルが細胞1個当たり数万個組み込まれており、これらがそれぞれナトリウムイオン、カリウムイオンなどの通過を支配しています。
したがって、 イオン化されたタンパク質やミネラルなどの栄養成分は、それぞれのイオンチャネルを通って細胞の深部に運ばれ細胞の活性化を促すと同時に、加齢などによって衰退したイオンチャネルそのものも復旧するのです。またイオンチャネルの働きに異常が生じると、さまざまな体調異変の原因につながることが明らかになっています。
例えば、猛毒として有名なフグ毒のテトロドトキシンは、ナトリウムチャネルのタンパク質に働きかけ、ナトリウムチャネルのゲート機能を遮断させ神経の興奮を疎外します。これにより神経の機能停止を引き起こし、全身麻痺により死に至らしめるのです。
これとは反対にサソリの毒カリブドトキシンは、ナトリウムチャネルのゲートを開けっ放しにしてしまいます。 するとナトリウムイオンが大量に流れ込み、細胞内外のイオンバランスが急激に崩れ、神経細胞で異常電位が発生、神経回路がショートすることにより体が麻痺、同じく死に至ってしまうのです。
このように人間を死に至らせる環境の違いはありますが、どちらにしてもイオンチャネルの異常が原因になっているのです。「イオンチャネル」は人間の健康や病気を左右するほどの大きな影響力を持っています。この「イオンチャネル」が正常に機能していれば、人間の健康は保たれるのです。